七章

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溜まり場に着くと、皆がバイクの整備をしていた。 「お前ら、終わったのか?」 「「はい!!」」 皆の返事を聞いてから中に入れば、疲れきった葵がソファーに転がっていた。 「あ…い~ちゃん。これ…ありがとう。」 「うん。終わった?」 「…さっきね。」 「良かったね?」 葵と話しながらソファーに座ると、侑哉さんが笑いながらジュースをくれた。 「葵も早くからやれば良いのに…。去年も龍さんに紛れてやってただろ。」 「懲りねぇな葵も。」 熾遠も笑いながら侑哉さんと話していた。 「ねぇ櫂翔?」 「なんだ?」 「何時から行くの?」 「9時からだ。」 「櫂翔もバイク?」 「いや車。走りはだいたい車だな。」 「私は?」 「あ?車に決まってんだろ。」 「ふぅん。」 今7時だから後2時間ぐらい時間はあった。 溜まり場で遊びながら、時間になるのを待っていると、8時頃皆が着替え出した。 櫂翔達も特攻服に着替えて来ていた。 いつもと違う櫂翔にドキドキしていると、櫂翔に呼ばれた。 「李遠。」 「なぁに?」 「ほらお前も着替えてこい。」 そう言いながら袋を投げてきて、受け取り中身を見ると、特攻服が入っていた。 「…え?」 「お前のだ。着てみろ。」 「…うん。」 返事をして奥の部屋で着替えてから櫂翔の元に戻った。 慣れない格好で少し恥ずかしくなりながら、櫂翔の所に戻り声をかけた。 「…櫂翔…着たけど…」 そう言うと、何か話していた皆が一斉にこっちを見てきた。 「似合うな李遠。」 「そう?…可笑しくない?」 「大丈夫だ。そろそろ時間だ…行くぞ。」 櫂翔はそう言い、私の手を引きながら外に向かった。
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