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しばらく走るとバーみたいな所に車は止まった。
櫂翔に抱き締められている私は、その温もりに涙が止まらなくなっている。
車が止まるとドアを開け、櫂翔は私を抱き抱えながら、バーの中に入っていく。
中には人がたくさんいたが、櫂翔が入って行くと、皆外に出ていった。
暫くして店の奥の方に来た時、葵の声と熾遠の声が聴こえた。
「い~ちゃん!?」
「李遠?」
泣きながら声がした方を見ると熾遠もいた。
「…葵…熾遠…。」
呟いた…私に熾遠はビックリしていた。
櫂翔は私を抱き抱えたまま、ソファーに座り、私の頭を撫でた。
櫂翔の優しさに、さらに涙が流れた。
「やっぱり李遠か。どうした?家で何があった?」
熾遠は櫂翔に抱かれて泣く私に聞いてきた。
家の言葉でまた身体が震えてきたけど、櫂翔が優しく抱き締めてくれた。
「熾遠、李遠が怯えてる。落ち着くまでまて。」
「あぁ。」
「熾遠さん?い~ちゃんの事やっぱり知ってるんですか?」
「俺の妹。」
そう答える熾遠に葵が、あぁと答え話していた。
しばらく泣き、落ち着いて来た頃、櫂翔が言った。
「李遠、何があったか話せるか?」
そう聞かれ、葵と熾遠、あと知らない人を見ると私を見つめていた。
「…軽蔑…しない…?」
櫂翔達が離れて行きそうで聞いてみた。
そう聞く私に櫂翔は私を抱き締めて言ってくれた。
「しない。俺が助けてやるから話してみろ。」
「…本当に?」
「あぁ。この先何かあるなら俺が護る。」
櫂翔が離れていかない。
その事は嬉しいが、話した後はわからない…。
でも…迎えにきてもらい、迷惑をかけたから…話さないと…。
そう思い、ポツリポツリ話し始めた。
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