二章

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「私は…熾遠が帰らない家で…伯父さん達に殴られてた…。涼には…無理やり…抱かれた…。」 私の言葉に熾遠は驚いた。 葵と櫂翔と男の人は何も言わずに黙って聞いていた。 「なっ!?いつからだ?」 「…殴られるのは…熾遠が…いなくなってから…。涼に…されたのは…去年…から…。」 「何で早く言わなかったんだ!?」 「言えなかった…。携帯も…前のは壊されて…熾遠に連絡も出来なかったから…。…だから…同じ高校に入って…探してた…。」 そこまで話すと、熾遠が謝ってきた。 「李遠…ごめんな?あいつら…俺が家に帰らなければ、李遠は大事にするって言ってたんだ…。」 「それで…帰らなかったんだ…。」 「あぁ。…まさか…お前今日もされたのか?」 熾遠の言葉に、ビクッと身体が震えたが、櫂翔が抱き締めてくれているから、少し安心した。 「今日は…帰ったら誰も居なくて、部屋に隠っていたの。喉が…乾いて…コンビニに行こうとして…部屋を出たら…リビングに涼がいて…無理やり…抑えつけられた。」 そこまで話すと身体が震えてきた。 櫂翔の腕にギュッと抱きつき、話を続けた。 「また…殴られて…無理やりされそうになった。………イヤで…叫んで…そしたら…玄関が開く音がして…その時に涼の拘束が緩くなって…その隙に公園まで逃げたの…。それで…気づいたら櫂翔に電話してた…」 私の話を聞いて、皆黙ってしまった。 「いつも…嫌で…涼に触られる度に熾遠って呼んだの…。その度に涼に熾遠は帰らないって言われてた。 …最近は…櫂翔を呼んでたの…。違う男の名前呼ぶな…お前は…俺のおもちゃだ…って…人を好きになっちゃ…ダメなんだって…」 話しながらポロポロと涙を流していると、ギュッと櫂翔に抱き締められた。 「…もぅいい…。李遠…辛かったな。今は気がすむまで泣け。」 そう櫂翔に言われ、櫂翔に抱きつき今まで泣けなかったぶん泣いた。 泣いてるうちに…私はそのまま眠ってしまっていた。
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