七章

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櫂翔side 会社の会議がある為、李遠一人を残して家を出た。 迎えに来た熾遠の車に乗り込み溜め息をつく。 「どうしたんだ?」 「いや…李遠がな…」 「は?李遠に何かあったのか?」 「…昨日珍しく甘えててな…。今日も大丈夫みたいに言ってたが、顔は不安そうにしてた。」 「…何か不安になったのか?」 「…夜中にうなされてた…。たぶんそれだな。」 「じゃあ、さっさと会議終わらせて、気晴らしに連れていくか。」 「あぁ。」 熾遠と話していたら、あっというまに会社に着いた。 熾遠と中に入り、会議室に入ると既に揃っていて、さっそく会議を始めた。 昼になり、会議も一時中断した時に携帯を見れば、可憐からメールが入っていた。 内容は“李遠と銘愛をランチに連れていくから”だけだった。 李遠を一人で待たせるよりはと思い、頼むと短い返信をして、熾遠と昼を食べに出掛けた。 熾遠の方にも連絡が入ってたみたいで、とりあえず早く終らせる為に会議の内容を纏めながら昼食をすませた。 いつもより早く終わり、熾遠と帰ろうとしていると、取引先のオヤジに引き留められた。 「獅童さん、結城さん、一緒に夕飯でもいかがですか?」 熾遠と立ち止まり、丁重に断ろうとしていたのに、ベラベラと喋り断るタイミングを見失った。 どうしても俺達を連れて行きたいらしいそいつに、無理矢理約束をさせられ料亭に向かう。 「…はぁ…何だよアイツ…。」 「仕方ねぇな…。無下にするわけにも行かないし…何とか早めに切り上げるか。」 「…だな。…はぁ…李遠に連絡入れとくか…」 熾遠の言葉に溜め息をつきながら、携帯を開き李遠に電話をした。
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