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櫂翔side
李遠は泣きながら眠ってしまった。
李遠の頭を膝に乗せ、涙を拭ってやる。
熾遠に視線を向ければ、イライラした熾遠が目に入った。
「熾遠、落ち着け。」
俺の言葉に熾遠は頷く。
「あぁ。だが…あいつら…許さねぇ…。李遠にまでそんな事してたなんて…。」
「熾遠、詳しく話せ。」
「俺たちの親は俺が12の頃に事故で死んだんだ。結城コーポレーション…わかるよな?」
「あぁ。」
「あれ…親父の会社なんだよ。俺たちが小さいのを良いことに、俺達の親代わりとして叔父が乗っ取った。最初は俺が殴られてた。中2の頃…我慢出来なくて、暴れてる所を先代の龍さんに拾われた。 学校でも…暴れて呼び出しが続いて、高校も決まった頃、叔父が言ったんだ。この家から俺が出れば、李遠には不自由はさせないと…。李遠を連れて、家を出る予定だった俺は、李遠が不自由なく暮らせた方がいいと思い、条件を飲んだ。だが…まさかこんな事になってるなんて…。」
「…わかった。涼って奴は?」
「涼は従兄弟だ。性格が悪くてな。会社も最初から自分達の物だと思ってる。」
「…会社…取り戻すか?」
「あぁ。あれは親父達が残した会社だ。いずれ俺の手に戻すつもりではいた。」
「わかった。家のグループも手伝う。とりあえず…李遠は俺が預かるぞ。」
「あぁ。」
そう話していると、李遠が悲鳴を上げて目を覚ました。
櫂翔side end
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