八章

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葵は彼女の言葉に一瞬驚いた顔をしながらも聞き返した。 「櫂翔さんを知ってるの?」 「えぇ。この前、お父様の紹介で一緒に食事したの。櫂翔さんに会いたくて転校して来たんですもの。」 その言葉に私はピクッと反応したが、声はかけなかった。 「あ~櫂翔さん学校に来てたとしてもクラスにはいないよ?」 「そう…。どこに行ったら会えるかしら?」 「さぁ?学校に来てない日もあるらしいからね?」 「そうなの?結城さんは知らない?」 「…知らない。」 葵が誤魔化したのを見て、私も知らないと答えた。 また何か話して来そうな時に、ちょうど先生が入ってきて授業が始まった。 休み時間になってすぐ、携帯とお弁当を持ち席を立つと私に気付いた葵が話しかけてきた。 「い~ちゃん?」 「…サボる。」 「あ…じゃあ俺も行く!!」 葵の言葉に頷き、教室を出ようとしたら、風間さんに話しかけられた。 「葵くん、結城さん?どこ行くの?」 「あ~ちょっとね。」 彼女の問いに葵が苦笑いを浮かべながら言った。 「サボり?ちゃんと授業を受けなくてはダメですよ。」 何だか彼女の言葉と態度に苛ついたので、きつめに言い返した。 「あなたには関係ない…。行こう葵。」 「あ…い~ちゃん待ってよ~。」 私の言葉に唖然とした彼女を残して、私と葵は屋上に向かった。 有那side 何なの?せっかく人が声をかけて上げたのに…。 そう思っていると、クラスメートから声をかけられた。 「有那ちゃん…結城さんには関わらない方が良いよ。」 「何で?」 「blue moonから通達が流れてるの。結城さんに何かあれば、櫂翔さんがキレるから…」 「櫂翔さんが?」 「そう。結城さんは櫂翔さんの彼女なの…」 「そうなんだ…。教えてくれてありがとう。」 教えてくれた子にお礼を言ってから、考えた。 さっき櫂翔さんの事を聞いた時、知らない振りしたのに…。 でも、あんな子より私の方が櫂翔さんにお似合いだわ。 さて…どうしてあげようかな? 有那side end
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