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葵と屋上に行くと、やっぱり櫂翔と熾遠がいた。
「櫂翔。熾遠。」
寝転がっていた櫂翔と熾遠に声をかけながら隣に座った。
「…ん?李遠どうしたんだ?」
私の声に気付いた熾遠が起きて、聞いてきた。
「おはよ熾遠。ちょっとね。
…櫂翔…ねぇ櫂翔おきて!」
熾遠に答えてからまだ眠る櫂翔を起こす。
「櫂翔ったら!」
「…あ゙?………李遠?もう昼か?」
目を開けて不機嫌そうに声を出した櫂翔は、私の姿を見るといつもの櫂翔に戻った。
「違うよ。まだお昼じゃない。櫂翔に聞きたい事があって…」
「なんだ?」
櫂翔はそう言いながら起き上がり、私の手を引き膝の間に座らせた。
「あのね? 風間 有那って知ってる?」
「は?誰だソイツ?」
「…この前、会社の会議に行った時に香水の匂いがしたのって、あの人じゃないの?」
「…あ~。櫂翔、アイツの娘だ。風間グループの。」
私達の会話を黙って聞いていた熾遠が思い出した様に言った。
「…あぁ…アイツか。それがどうした?」
「今日、うちのクラスに転校して来たんですよ。櫂翔さんに会う為に転校して来たって言ってましたよ。」
「は?…どこまで迷惑なんだよ…。」
「転校して来たのはいいんだけど…あの香水って彼女なの?」
嫌そうに眉間に皺を寄せる櫂翔の腕にギュッと掴まりながら聞いた。
「あぁ、あの女だ。馴れ馴れしくベタベタしてきやがった。」
「…ふぅん…。」
私は考えるようにしながら、返事をすると熾遠に声をかけられた。
「李遠?何考えてる?」
「ん?たぶん今頃、私が櫂翔の彼女だってバレてるだろうから…何かしてきそうだなぁって思って。」
「はぁ?お前は呑気だな…。まぁ…通達も伝わってるだろうから暫くは様子見だな。」
考えてる事を素直に熾遠に言えば、呆れた様に言われた。
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