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あれから1週間がたったが、風間さんは諦めずに毎回櫂翔に話しかけるが、櫂翔は無視していた。
そんな中、10月の体育祭の話を担任がした。
「来月の始めに体育祭がある。必ず一人一種目は出るように。どの種目に出るか決めろ。あとは学級委員、任せたぞ。」
担任はそれだけ言うと、さっさと隅に移動した。
学級委員が仕切る中、葵が聞いてきた。
「い~ちゃん、何にする?」
「あ~どうしようか…。あんまり関わりたくないから、50M走とかでいいや。」
「…い~ちゃん…体育祭ぐらい楽しもうよ?」
「…めんどくさいもん…」
「はぁ…仕方ないか。それがい~ちゃんだもんね。」
葵も同じやつにしてくれて、私達は話し合いには参加しなかった。
その時…私達の話を隣の席で聞いていた風間さんが、不敵に笑っているのに気が付かなかった。
放課後になり櫂翔が迎えに来て、今日も風間さんが熱烈なアピールをしていたが、いつもの様に櫂翔は無視して私の手を引き歩き出した。
バイクを止めている場所まで来て、ヘルメットを被っていると、急に櫂翔が言った。
「李遠、今日は溜まり場行かねぇから。」
「ん?そのまま帰るの?」
「いや…寄るとこがある。」
「…?どこ行くの?」
「…実家。」
「えっ?」
「…可憐が家でお前の事話したらしくてな?親父達が連れて来いって煩いんだよ。いいか?」
「う…うん。…でも…緊張する…。」
「大丈夫だ。綾の所で彰さんに会っただろ?」
「うん。」
「親父は彰さんの弟だから雰囲気的には似てる。」
「そっか…。じゃあもしかして…宝龍に居たのかな?」
「あぁ。裕二さんのあとだから3代目だな。」
「…櫂翔…会ってみたい…。もしかして…パパ達の事…知ってるかも…。」
「あぁ。聞いてみたらいいさ。じゃあ行くぞ?」
「うん!」
私が返事をすると、櫂翔はバイクを発進させた。
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