八章

10/47
前へ
/592ページ
次へ
あれから1週間がたったが、風間さんは諦めずに毎回櫂翔に話しかけるが、櫂翔は無視していた。 そんな中、10月の体育祭の話を担任がした。 「来月の始めに体育祭がある。必ず一人一種目は出るように。どの種目に出るか決めろ。あとは学級委員、任せたぞ。」 担任はそれだけ言うと、さっさと隅に移動した。 学級委員が仕切る中、葵が聞いてきた。 「い~ちゃん、何にする?」 「あ~どうしようか…。あんまり関わりたくないから、50M走とかでいいや。」 「…い~ちゃん…体育祭ぐらい楽しもうよ?」 「…めんどくさいもん…」 「はぁ…仕方ないか。それがい~ちゃんだもんね。」 葵も同じやつにしてくれて、私達は話し合いには参加しなかった。 その時…私達の話を隣の席で聞いていた風間さんが、不敵に笑っているのに気が付かなかった。 放課後になり櫂翔が迎えに来て、今日も風間さんが熱烈なアピールをしていたが、いつもの様に櫂翔は無視して私の手を引き歩き出した。 バイクを止めている場所まで来て、ヘルメットを被っていると、急に櫂翔が言った。 「李遠、今日は溜まり場行かねぇから。」 「ん?そのまま帰るの?」 「いや…寄るとこがある。」 「…?どこ行くの?」 「…実家。」 「えっ?」 「…可憐が家でお前の事話したらしくてな?親父達が連れて来いって煩いんだよ。いいか?」 「う…うん。…でも…緊張する…。」 「大丈夫だ。綾の所で彰さんに会っただろ?」 「うん。」 「親父は彰さんの弟だから雰囲気的には似てる。」 「そっか…。じゃあもしかして…宝龍に居たのかな?」 「あぁ。裕二さんのあとだから3代目だな。」 「…櫂翔…会ってみたい…。もしかして…パパ達の事…知ってるかも…。」 「あぁ。聞いてみたらいいさ。じゃあ行くぞ?」 「うん!」 私が返事をすると、櫂翔はバイクを発進させた。
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1838人が本棚に入れています
本棚に追加