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学校から30分くらい走った頃、大きな家の前に櫂翔はバイクを止めた。
「着いたぞ李遠。」
そう言われバイクから降りて、家を見上げた。
「うわぁ…おっきい…」
「クスクス。中に行くぞ。」
私の肩を抱きながら、櫂翔は玄関に向かった。
ガチャっと玄関を開けると、リビングらしき場所から声が聞こえた。
「誰~?」
櫂翔は何も言わずに上がるから、小さくお邪魔しますって言ってから上がった。
返事がないのに不審に思ったのか、リビングの扉が開いた。
出てきたのは可憐さんだった。
「なんだ…櫂翔か…。って李遠!?いらっしゃい!お母さん!李遠が来たわよ!!」
ハイテンションで騒ぐ可憐さんに驚きながらも挨拶した。
「お久し振りです可憐さん。この前はありがとうございました。」
「いいのよ~。気にしないで。」
そう話していると、バタバタと廊下を走る音が聞こえて、可愛らしい人が抱き着いてきた。
「…え?」
「可愛い~!!櫂翔には勿体無いぐらいだわ。」
いきなりでオロオロしながら櫂翔を見ると、ため息をつきながら言った。
「お袋…離してやれ。李遠が驚いてんぞ。」
「あっごめんね?始めまして李遠ちゃん。櫂翔達の母です。」
「あ…始めまして…」
「クスクス。そんなに緊張しないで?それに…まったく始めてでもないのよ?」
「…え?」
「翼くんと李維の娘でしょ?」
「はい。」
「翼くんと李維の葬式の日…潤さん達と一緒に私達もいたの。彰さんからも聞いてたし…」
「やっぱり…パパ達を知ってるんですね?」
「えぇ。李維とは幼馴染みで親友よ。あなた達があのバカに引き取られた後に、何回か会おうとしたんだけど、あのバカが会わせてくれなかったの。あのバカに酷い事されてたんでしょ?助けてあげれなくてゴメンね?」
そこまで聞くとポロポロと涙が溢れてきた。
…皆…パパ達を覚えていてくれて、私達が叔父さんにされた事を怒ってくれる。
嬉しくなり涙が止まらず泣いていると、櫂翔に抱き寄せられた。
暫く泣いていると玄関が開く音が聞こえた。
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