八章

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家に帰りつき、ライチと遊んだりお風呂に入ったりしてから、ベッドに横になった。 ベッドの中で櫂翔に抱きつきながら話をした。 「ねぇ櫂翔?」 「ん?」 「聖さんも芹夏さんも良いお父さんとお母さんだね?」 「そうか?」 「うん。パパ達の事も色々知れたし…聖さん…私の事…娘だって言ってくれた。」 「良かったな。」 「うん。また行きたい。」 「あぁ。いつでも連れて行ってやるよ。」 「熾遠も櫂翔の家行った事あるの?」 「あぁ。アイツは俺より家に行ってるな。親父達の事も親父とお袋って呼ぶしな。」 「そうなんだ…。」 熾遠がそう呼ぶと聞いて、私は考え込んでいた。 「何考えてんだ李遠?」 「ん?あのね…」 そこで一回言葉を切ると、櫂翔は起き上がりタバコに火をつけてから、私の頭を膝に乗せ撫でてくれた。 「どうした?」 「…私も…お父さん、お母さん…って…呼びたいな…って…」 「呼んでやれ。アイツら喜ぶぞ。」 「本当?じゃあ…今度会ったとき呼んでみようかな?」 「あぁ。ほらもう寝ろ。眠いだろ?」 櫂翔に頭を撫でられ私は眠たくなってきていた。 半分寝惚けながら櫂翔に聞いた。 「ん。…ねぇ櫂翔?」 「なんだ?」 「風間さんと…何もないよね?」 「ある訳ないだろ?どうしたんだ?」 「不安になっただけ…。最近…夢見るの…。…一人ぼっちになる夢…」 「大丈夫だ。お前を一人にしない。」 「うん…。…櫂翔…側に…いて…。」 最後に呟く様に言うと眠気に逆らえず、深い眠りに落ちていった…。 …だから…この時、櫂翔が言った言葉は聞こえていなかった。 「頼まれても離してやらねぇよ。お前は一生俺が側で護るんだからな…。もうすぐ解決するから…不安にさせてゴメンな李遠。…お前だけを愛してるよ…。」
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