八章

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教室に戻った後、机に張り付いていたカッターが消えていた。 たぶんblue moonの子達が外したんだろうと思い、ありがとうって言っといた。 メンバーの子達は何かを葵と話していたが、何人かは私の相手をしてくれていた。 最後の授業は何事もなく終わり、放課後になった。 HRが終わると同時にエナが飛び込んできた。 「イオ、帰ろう?」 「うん。だけどちょっと待ってね。櫂翔がまだ来てないから。」 「…は?帰りも一緒なの?」 「うん。一人で買い物とかも禁止だしね。」 「…何か…過保護ね?」 「そう?」 エナと話していると櫂翔が来た。 「李遠。」 櫂翔に呼ばれ振り向けば、私より早く風間さんが反応して櫂翔に駆け寄った。 「…何?あの女?」 それを見ていたエナは不機嫌そうに呟いた。 「櫂翔狙いの子。櫂翔に会いたくて転校して来たんだって。」 「は?で何でイオはそんなに落ち着いてんの?ムカつかないの?」 「ムカつくけど、櫂翔が相手にしてないから。毎回無視されるのに、良く話し掛けれるよね。」 そう話していると、櫂翔が私達の方に来た。 「何話てんだ?李遠、エナ行くぞ。」 「うん。ゴメンね。あれ?葵は?」 「先に行った。」 「そう、エナ行こ?彼氏来てるんでしょ?」 「あ…うん。アイツは待たせといて良いけど…。」 エナはそう言うと、風間さんに近寄り言った。 「…ねぇアンタ。櫂翔さんを狙うのは勝手だけど…イオに手を出したら許さないから。」 「あら?あなたには関係ないですわ。いずれ結城さんには櫂翔さんと別れて頂きますし。」 「…とにかく忠告はしたよ。」 エナはそう言うと私達の方に来たので、歩き出した。
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