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いきなり抱きついた私に櫂翔はビックリしたけど、ちゃんと受け止めてくれた。
「…どうした?」
『李遠、久しぶりだな?総司(そうじ)に何かされたのか?』
櫂翔と魁さんに声をかけられ、首を振った。
「あぅ…魁さん、お久しぶりです。」
『あぁ。』
魁さんは笑いながら頭を撫でてくれた。
櫂翔達と話していると、エナが走ってきた。
「イオ?急にどうしたの?」
「エナ…何でもないよ?その人が彼氏?」
「一応…」
そう言うエナを後ろから抱き締めながら、総司さんは言った。
「一応じゃねぇだろ?イオちゃんだろ?俺は総司。依鈴梛の愛しの彼氏様だ。イオちゃん可愛いねぇ。」
たぶん握手を求めて来たと思うけど、私は咄嗟に櫂翔に抱きついた。
「…あれ?…俺…嫌われた?」
そう呟く総司さんに櫂翔が私を抱き締めたまま言った。
「総司…そのキャラやめろ。李遠が怯えてる。普通にしてたら、李遠も話してくれるぞ。」
櫂翔に隠れながら謝った。
「あ…あの…ごめんなさい…。…エナの…幼なじみの李遠です。」
「うん。ヨロシク。」
総司さんの手が頭の上に来た時、また櫂翔に抱きつき震えた。
こんなに怯えてる私が珍しいのか、皆呆然としている。
ある程度は人見知りがある事を知っている櫂翔も、不思議そうにしながら聞いてきた。
「李遠?総司が怖いのか?」
「…櫂翔…。…眼鏡…が…。…涼…に…」
そう…総司さんは涼みたいな眼鏡をつけ、髪の色も一緒だった。
雰囲気的にも似てる感じがして、頭では涼じゃないと解っていても無意識に震えて、櫂翔に抱きついてしまっていた。
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