八章

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いきなり抱きついた私に櫂翔はビックリしたけど、ちゃんと受け止めてくれた。 「…どうした?」 『李遠、久しぶりだな?総司(そうじ)に何かされたのか?』 櫂翔と魁さんに声をかけられ、首を振った。 「あぅ…魁さん、お久しぶりです。」 『あぁ。』 魁さんは笑いながら頭を撫でてくれた。 櫂翔達と話していると、エナが走ってきた。 「イオ?急にどうしたの?」 「エナ…何でもないよ?その人が彼氏?」 「一応…」 そう言うエナを後ろから抱き締めながら、総司さんは言った。 「一応じゃねぇだろ?イオちゃんだろ?俺は総司。依鈴梛の愛しの彼氏様だ。イオちゃん可愛いねぇ。」 たぶん握手を求めて来たと思うけど、私は咄嗟に櫂翔に抱きついた。 「…あれ?…俺…嫌われた?」 そう呟く総司さんに櫂翔が私を抱き締めたまま言った。 「総司…そのキャラやめろ。李遠が怯えてる。普通にしてたら、李遠も話してくれるぞ。」 櫂翔に隠れながら謝った。 「あ…あの…ごめんなさい…。…エナの…幼なじみの李遠です。」 「うん。ヨロシク。」 総司さんの手が頭の上に来た時、また櫂翔に抱きつき震えた。 こんなに怯えてる私が珍しいのか、皆呆然としている。 ある程度は人見知りがある事を知っている櫂翔も、不思議そうにしながら聞いてきた。 「李遠?総司が怖いのか?」 「…櫂翔…。…眼鏡…が…。…涼…に…」 そう…総司さんは涼みたいな眼鏡をつけ、髪の色も一緒だった。 雰囲気的にも似てる感じがして、頭では涼じゃないと解っていても無意識に震えて、櫂翔に抱きついてしまっていた。
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