八章

27/47
前へ
/592ページ
次へ
皆でご飯を食べてから、その場で解散になった。 綾さん達は今から地元に帰るらしく、また会うことを約束して別れた。 私達も家に帰り、お風呂に入って、リビングでのんびりしていた。 櫂翔はビールを飲みながらソファーに座っていて、私はその下でライチと遊んでいると、櫂翔に呼ばれた。 「李遠。」 「ん~?なに?」 「12月にパーティーがあるから。」 「会社の?」 「あぁ。婚約発表だ。」 「誰の?」 「魁さんと綾。」 「うわぁ。おめでたいね?」 「あぁ。それでな?」 櫂翔はそこで一回言葉を切り、私を膝に乗せた。 「櫂翔?」 「…お前が卒業したら…結婚しよう?」 「……………え?」 いきなり言われ困惑した。 「これから先、李遠が嫌がっても離してやれねぇ。会社の接待でこの前の様に食事に誘われる事もある。そのたびに李遠を不安にさせたくない。5年後、10年後、その先も俺は李遠と過ごしたい。 …だから…結婚しよう?」 櫂翔の言葉が嬉しすぎて、話を聞きながらポロポロ涙が流れてきた。 「…イヤか?」 不安そうに眉を潜める櫂翔に慌てて首を振った。 「本当は今すぐにでもお前を俺のものにしたいが、年的に後1年ある。だから今は婚約って形になるけどな。」 話ながら頭を撫でてくれる櫂翔に泣きながら聞いてみた。
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1838人が本棚に入れています
本棚に追加