八章

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櫂翔のバイクに乗り着いたのはジュエリーショップだった。 「…行くとこってここ?」 「あぁ。行くぞ。」 櫂翔に手を引かれ中に入ると、従業員さんに挨拶された。 「いらっしゃいませ獅童様。」 「どうも。出来てますか?」 「はい。少々お待ちください。」 そう言い私たちから離れバックヤードに向かう従業員さん。 「何か頼んでたの?」 「あぁ。まぁ、待ってろ。」 櫂翔にそう言われ、待ってる間に色々見ていた。 ケースの中を覗いていると、フッと目に止まったピアス。 …可愛い…。 それはリングになっていて、月と猫のモチーフが付いていた。 ジッと見つめていると櫂翔に呼ばれた。 「李遠。」 「ん?」 「来てみろ。」 いつの間にか戻って来ていた従業員さんの手には白い箱がのっていた。 不思議に思いながら櫂翔に近付くと、ネックレスを見せられた。 「櫂翔?」 「どうだ?」 「うん。可愛いね?誰にあげるの?」 「…李遠にだよ。」 「………え?」 「指輪にしようと思ったけど、この前やったしピアスは姫のがあるからな。婚約指輪の代わりだ。」 「…え…?…でも…」 「なんだ?気に入らないか?」 「そんな事ない!…貰って…いいの…?」 「クスッ。お前以外に誰が付けるんだよ。」 婚約発表もまだなのに、櫂翔はネックレスをくれた。 貰ってばかりだから一瞬悩み、櫂翔に聞いたが、櫂翔は話しながら私の首にかけてくれた。 「…ありがとう櫂翔。」 「あぁ。」 嬉しくなり櫂翔にお礼を言ってネックレスを眺めていると、いつの間にか櫂翔は会計を済ませに行っていた。
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