八章

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会計を済ませた櫂翔は、私の手を掴み店を出た。 「櫂翔!ありがとう!!」 もう一度お礼を言うと、笑いながら頭を撫でてくれた。 「外すなよ?」 「うん。」 櫂翔のバイクに乗り、学校に向かった。 学校に着いたのは3時限目が終わった頃だった。 櫂翔に送られ教室に着くと、すぐに葵が近寄ってきた。 「い~ちゃん、おはよう。」 「おはよ葵。」 「今日は遅かったね。」 「うん。櫂翔と寄り道してたから。」 「あっ!このネックレス買って貰ったの?」 「そうだよ。」 「可愛いね。い~ちゃんに良く似合うよ。」 「ありがとう。」 話しているとチャイムがなり、授業が始まった。 隣から鋭い視線を感じながら席に着くと風間さんが私を睨んでいた。 先生に気づかれない様に話しかける。 「風間さん、後で話があるんだけど。」 「ちょうど良かったわ。私も貴女に言いたい事があるの。」 「そう。じゃあこの授業が終わったら話しよ?」 「ええ。」 風間さんの返事を聞いてから、机に俯せた。 風間さんには解らない様にネックレスを握り、彼女に言いたい事を考えていると、いつの間にか授業が終わった。 「結城さん、どこで話しますか?」 「どこでも良いけど?」 「じゃあ着いてきてください。」 そう言い教室を出る風間さんを追いかけた。 教室を出る時に葵にどこに行くか聞かれたが、適当に誤魔化した。 一緒に話をすると言った櫂翔に知られたら怒られるとも思ったけど、櫂翔がいると彼女との話し合いも意味がないと思ったから。
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