八章

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櫂翔に引っ張られ屋上に移動した私達。 5限の始まりのチャイムは既になっていたが、熾遠も葵も授業には向かわなかった。 私は櫂翔の膝に座らされていた。 「…えっと…櫂翔?」 「あ?」 「離して…」 「やるか。全て話せ。」 …途中で遮られた。 「えっと…」 とりあえず、学校に着いてからの事を全て話した。 話終わると櫂翔と熾遠は溜め息をつき、葵は呆れた様に苦笑いしていた。 「…李遠…言ったよな?お前一人ではダメだって…」 「…うん。…でも…やっぱり…ね?」 櫂翔に言われ、シュンっとしながら言えば熾遠が言った。 「李遠!お前は何回危ない事すれば気がすむんだ!!何かあってからじゃ遅いんだぞ!」 「うっ…解ってるよ…」 「解ってないだろ?あの男達がお前より強かったらどうすんだよ!せめて居場所は知らせとけ!!」 「…ぁぅ…」 熾遠にまで怒られて反論のしようがなかった。 「…今回は見逃してやる。だが…次こんな事したら、首輪つけるぞ。」 「…はぁい…」 さすがに首輪は嫌だから素直に返事をした。 私と櫂翔の話が終わると、熾遠は考える素振りをしながら言う。 「しかし…婚約の話なんて櫂翔、親父から聞いてるか?」            「いや…知らねぇ。」 「だよな?何なんだ?」 「帰りに行ってみるか。」 「だな。それが早いな。」 櫂翔と熾遠の話が終わると、いつもの雰囲気に戻った。 放課後までそのまま過ごし、葵に鞄を持ってきて貰った。
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