八章

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私が出されたケーキをジッと見つめていると、お父さんが食べていいよって言ってくれた。 お父さんに頷きケーキを口に運んでいると櫂翔が話始めた。 「親父、風間の娘との婚約ってなんだ?」 「…は?お前の婚約者は李遠だぞ?」 「…デマ…か。」 不思議そうに話すお父さんと櫂翔。 チラッと二人を見ながら、手をつけていない櫂翔のケーキに私の視線は向いていた。 「李遠?」 急に話し掛けられ戸惑った。 「…ふぇ?」 「クスクス。食っていいから話聞け。」 変な声が出てしまった私に、櫂翔は笑いながらケーキを差し出した。 ニコニコしながら食べていると、熾遠が聞いてきた。 「李遠?本当に婚約の話が進んでるって言われたのか?」 「うん。会社で話してるって言ってた。」 そう言うと、今まで黙っていたお父さんが聞いてきた。 「なんだ?何があった?」 ケーキに夢中になる私に変わり、熾遠が今日おきた事をお父さんに言った。 話を聞いたお父さんは私の頭を撫でながら言う。 「李遠、危ない事するな。」 「うん。ごめんなさい。」 「もうするなよ? しかし…なんだその女は。確かに婚約者にって風間が言ってきたが、李遠がいるから断ったぞ。とりあえず…もう一回言っとくわ。李遠、心配しなくていいからな?櫂翔の婚約者はお前だけだ。」 「うん。ありがとうお父さん。」 そう言いお父さんに抱きついた。 櫂翔と熾遠は微笑みながら私達を見ていた。
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