二章

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目が覚めると、誰かに抱き締められていた。 一瞬、状況が解らなくてビクッとして、抱き締めていた人を見ようとすると、声が聞こえた。 「起きたか?」 「…櫂翔…?」 「あぁ。おはよ李遠。」 「おはよう…。ずっと…抱き締めてて…くれたの?」 「あぁ。」 「ありがとう…。」 櫂翔は寝るときのままで居てくれた。 「李遠シャワー浴びてこい。着替えて荷物取りに行くぞ?」 櫂翔に言われ、頷いて気づいた。 「でも…着替えがないし…。」 「俺の貸してやる。ほら来い。」 そう言い、バスルームまで連れて行かれた。 「ほら入ってこい。着替えは後で持ってきてやる。」 「……うん。」 私の返事を聞くと、櫂翔は出ていった。 確かに涼に触られたままの身体は気持ちが悪く、シャワーを浴びる事にした。 熱めのシャワーにあたり、ふっと鏡を見ると、首にキスマークを付けられていた。 それをみた私は、必死に消そうと、ゴシゴシと擦った。 擦った所で、キスマークが消えるはずもなく、擦った首は真っ赤になっていた。 擦って真っ赤になり、涼に付けられたキスマークも目立たなくなった。 とりあえず上がろうと思い、シャワーを止め、出ると着替えが置いてあった。 櫂翔の服はちょっと大きかったけど、着れない事もないので着て、櫂翔の元に戻った。 櫂翔はソファーに座り、テレビを見ていたので、隣に座った。 櫂翔は私の首が赤くなっているのに気づき聞いてきた。 「李遠?首どうした?」 そう言われ、また首を爪で引っ掻いて、キスマークを消そうとした。 「…あ…昨日…付けられてた…みたいで…。いくら擦っても…消えなくて…。」 カリカリしながら言うと、櫂翔が引っ掻いてる手を掴んだ。 「李遠やめろ。」 「あ……。櫂翔…私に触ったら…櫂翔まで汚れちゃう…。…私が…汚れてるから…。」 …そうだ…。私は汚い…。汚れてる私に触ったら、櫂翔が汚れちゃう…。汚い私が…櫂翔を好きになっちゃ…ダメなんだ…。 涙を流しながら、そう思い、櫂翔から離れ様と動こうとすると、櫂翔に抱き締められた。
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