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櫂翔の言葉にエナの首を見れば、エナにもキスマークがついていた。
「エナ…ついてる。」
指で場所を指しながら言えば、エナは顔を赤くしながら呟いた。
「…アイツ~!!」
エナの様子が可笑しくて、クスクス笑いながら見ていた。
「エナ…諦めよ?じっくり見られなきゃ気付かれないよ。」
「…だね…。…今からじゃどうしようもないもんね…。」
はぁっと溜め息を付きながら言うエナに頷いていると、開会式を始めるアナウンスが流れた。
皆が集まる事はなく、生徒はテントの中や思い思いの場所に居たまま、先生が開会の挨拶を始めると、騒がしかった校庭が静かになっていき、理事長の挨拶になった。
「いいかてめぇら。デカイ怪我はすんなよ。あと卑怯な真似した奴は退学な。んじゃ…思う存分暴れろ!」
そう言うと理事長はさっさと見えない所に行っていた。
「…理事長って…初めてみた…。」
「だろうな。理事長は体育祭と学園祭にしか顔出さないからな。理事長に会ったら…李遠驚くぞ。」
「何で?」
「知ってる人だから。」
「…は?」
「まぁ…その内ここに来るから待ってろ。」
さっきチラッと理事長の顔が見えたが知らない人だった様に思える。
熾遠が何を言ってるのか訳が解らないまま、競技はスタートしていた。
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