九章

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ついに私達の番になった。 葵とスタートラインに並んでいると、風間さんや他の人も来た。 相変わらず女の子や風間さんには睨まれていたが、気にしないで葵と話していると、バンって音がなりスタートした。 走っていると女の子達がボールを投げてきたが、それを避けながら走る。 男達は葵が抑えながら、走っていた。 半分ぐらい来たとき、隣には風間さんがいた。 一応警戒しながら走っていると、目の前にネットが見えてきてその上を走った。 ネットも終わりが見えてきた頃、急にネットが上がり足に絡み付いた。 「っ!」 咄嗟に気付いたが、絡み付いていてどうする事も出来ず、転んでしまった。 「い~ちゃん!!」 転んだ私を見て、葵が慌てて駆け寄って来ていた。 「大丈夫。先に行って!」 「でも…。」 「平気。それより後ろから狙われてるよ。」 「ちっ!すぐに片付けるから…」 葵はそう言うと、逆走して男子に向かってボールを投げていた。 足に絡み付いたネットを外そうとして、片手をついていると手を踏まれていた。 「…痛いんだけど…。」 言いながら踏みつけている人を見る。 位置的に皆からは見えないらしく、誰からも止められる事はなかった。 「あら。ごめんなさい。気付かなかったわ。」 「……………。」 グリグリとされながら、返事をせずに足のネットをとり、風間さんの足にコソッと引っ掻けてから、踏まれている手を引き抜いた。 立ち上がるついでにネットを引っ張りあげると、足に絡み付いているのに気付いていない風間さんは尻餅をついた。
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