1838人が本棚に入れています
本棚に追加
ギュッと抱き着いた私に櫂翔は背中をポンポンと叩いてくれた。
「ほら、もう怒ってねぇから泣くな。」
「…グス…ゴメン…なさい…」
「あぁ。わかったから。」
「…置いて…行かないで…」
「あぁ、お前がちゃんと俺の言う事聞いてるなら置いて行かない。あれで反省しただろ?」
コクンと頷くと、櫂翔は頭を撫でてくれる。
「ほら泣き止まないと傷の手当てしに戻れないだろ?親父達も待ってる。」
そう言われても涙は簡単には止まってくれなかった。
泣き続ける私を櫂翔は抱き上げて歩きだした。
櫂翔に抱えられながらテントに戻ると、泣いている私に皆が慌てだした。
「李遠どうした?痛いのか?痛み止めもらうか?」
熾遠が近寄ってきて聞いてきたが首を振り櫂翔に抱き着いた。
「櫂翔!なんで李遠泣いてんのよ!!あんた何かしたでしょ!!」
可憐さんは櫂翔に向かって叫んでいる。
「ちょっとしたお仕置き。」
平然と答える櫂翔に可憐さんはさらに叫ぶ。
横から誰かに抱き上げられ、私は櫂翔から離された。
ビックリして見てみるとお父さんの膝に乗っていた。
「李遠泣かなくていい。櫂翔も本気で怒ってねぇから…。」
「…グス…お父…さん…。」
「本当に李維そっくりだな。いいか李遠?ちゃんと怪我したりしたら言うんだ。後からわかる方が心配になるんだからな?」
「…うん…ゴメン…なさい…」
ポロポロ涙を流しながら言うとお父さんも、櫂翔みたいに頭を撫でてくれた。
「李遠ちゃん、傷見るからね?」
弘人さんがそう言いながら、手当てをしてくれた。
「たぶん骨は大丈夫。もし痛かったら明日にでも病院においで?」
弘人さんに言われ頷くと、いきなり叫び声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!