九章

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ギュッと抱き着いた私に櫂翔は背中をポンポンと叩いてくれた。 「ほら、もう怒ってねぇから泣くな。」 「…グス…ゴメン…なさい…」 「あぁ。わかったから。」 「…置いて…行かないで…」 「あぁ、お前がちゃんと俺の言う事聞いてるなら置いて行かない。あれで反省しただろ?」 コクンと頷くと、櫂翔は頭を撫でてくれる。 「ほら泣き止まないと傷の手当てしに戻れないだろ?親父達も待ってる。」 そう言われても涙は簡単には止まってくれなかった。 泣き続ける私を櫂翔は抱き上げて歩きだした。 櫂翔に抱えられながらテントに戻ると、泣いている私に皆が慌てだした。 「李遠どうした?痛いのか?痛み止めもらうか?」 熾遠が近寄ってきて聞いてきたが首を振り櫂翔に抱き着いた。 「櫂翔!なんで李遠泣いてんのよ!!あんた何かしたでしょ!!」 可憐さんは櫂翔に向かって叫んでいる。 「ちょっとしたお仕置き。」 平然と答える櫂翔に可憐さんはさらに叫ぶ。 横から誰かに抱き上げられ、私は櫂翔から離された。 ビックリして見てみるとお父さんの膝に乗っていた。 「李遠泣かなくていい。櫂翔も本気で怒ってねぇから…。」 「…グス…お父…さん…。」 「本当に李維そっくりだな。いいか李遠?ちゃんと怪我したりしたら言うんだ。後からわかる方が心配になるんだからな?」 「…うん…ゴメン…なさい…」 ポロポロ涙を流しながら言うとお父さんも、櫂翔みたいに頭を撫でてくれた。 「李遠ちゃん、傷見るからね?」 弘人さんがそう言いながら、手当てをしてくれた。 「たぶん骨は大丈夫。もし痛かったら明日にでも病院においで?」 弘人さんに言われ頷くと、いきなり叫び声が聞こえた。
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