九章

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楽しいお昼の時間も終わり、午後の競技が始まった。 「おっ。次は俺達だな。」 熾遠が言い、櫂翔達が立ち上がった。 「李遠行ってくるから、エナと見てろ。」 「うん。櫂翔頑張ってね。」 「あぁ。」 櫂翔は私の頭を撫でてから熾遠達と歩いて行った。 櫂翔が出るのは男子全員参加の競技だ。 どんなのかエナに聞いたら、チームの大将がハチマキをして、それを取ったチームが勝ちというシンプルな競技だ。 「じゃあ櫂翔が取られないならいいんだね。」 「そう。それにこの競技で勝ったチームが事実上学校で一番のチームになるからね。負けたチームは一年間そのチームに学校では手を出せないの。」 「へぇ~。エナよく知ってるね?」 「イオ…説明聞かなかったの?」 「…知らない。」 「はぁ…昔から変わらないね。今度からちゃんと聞きなさい。そのぶんじゃ、女子全員参加の競技も何するか知らないでしょ?」 「うん。」 「自信満々に答えない。ついでだから今説明するね?」 そう言って説明してくれるエナの話をよく聞いた。 簡単に言うと男子がするのと対して変わらないが、女子はチーム戦ではなく個人戦。 一番多くハチマキを取れた人の勝ちみたいだ。 「個人戦なんだ…。」 「そう。だけどチームになったりしてもありなの。予想ではグループでイオに向かって来ると思うよ。」 「まぁ…女子相手なら大丈夫でしょ。」 「またイオは…。そうやって油断して怪我でもしたら、櫂翔さんとしぃ兄に怒られるよ?」 「うっ。解ってるよ。油断はしない。」 「そうしなさい。まぁ、私はイオと一緒にいるからね。」 「ありがとうエナ。」 エナと話していると、櫂翔達の競技が始まろうとしていた。
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