二章

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チュッと触れるだけのキスだったはずが、いつの間にか深いキスをされていた。 余りに長いキスに、苦しくなりだした頃、櫂翔の携帯が鳴りだした。 櫂翔は一瞬唇を離し、携帯を見た。 その間に呼吸を整えていると、また唇を塞がれた。 まだ鳴り響く携帯が気になり、キスの合間に聞いてみる。 「…んっ…。か…と…。け…たい…。」 「…ほっとけ。」 そう言うと、さらに激しくキスしてきた。 携帯は一度切れたが、また鳴り出した。 だんだん苦しくなってきて、ギュッと櫂翔に捕まると、やっと唇を離してくれた。 私は力が抜け、櫂翔に寄りかかりながら息を整えた。 そんな私を櫂翔は抱き締めてくれて、抱き締めたまま、鳴り続く携帯にでた。 「…はい。あぁ…今から行く。…じゃあな。」 櫂翔は短い会話で電話を切り、私を見てきた。 大分落ち着いてきた私は櫂翔に聞いてみた。 「…はぁ…誰だったの?」 「ん?熾遠。早く来いだと。」 「あ…熾遠待ってるんだ。…行かないとね。」 そう言いながら櫂翔から離れ様とすると、櫂翔に引き寄せられた。 「櫂翔?熾遠待ってるんでしょ?」 「待たせとけ。」 そう言いながらギュッと抱き締められた。 私ももっとギュッってしてたかったから、何も言わずに櫂翔を抱き締め返していた。 しばらく抱き合ってると、櫂翔は満足したのか私を離し、チュッとキスしてきた。 「さて…行くか?あんまり待たせると、うるせぇからな。」 「うん…。」 もうちょっとだけギュッてしていたかった私は寂しくなっていた。 「李遠、そんな寂しそうにするな。帰ったらたっぷり抱きしめてやる。」 「…寂しくなんてないもん…。」 何だか悔しくて嘘を言えば、櫂翔にはバレてたみたいで、耳元で囁かれた。 それから、二人で準備して、溜まり場に向かった。
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