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私とエナは向かって来る女の子達を、背中合わせで相手にして、なるべく怪我をさせない様にハチマキを奪っていく。
昔…まだパパ達が生きてた頃、護身術にと空手を習っていた私達は、暫くやってなかった割には身体が動きを覚えているらしく、どんどんと女の子達を減らしていく。
敵わないと諦める女の子がいるなか、後ろの方には風間さんがいた。
ある程度人数が減った頃、風間さんが私達に近づいてきた。
「…やっと来た…。」
エナがボソッと呟くと、風間さんとたぶん彼女のお姉さんは一緒にかかってきた。
「ねぇ結城さん。」
「…なに?」
「この勝負で貴女が負けたら櫂翔さんと別れて。」
「…櫂翔が誰と付き合うかは櫂翔が決める事だと思うけど?」
「…じゃあ櫂翔さんの前から姿消して。」
「…………。じゃあ…貴女が負けたら、櫂翔と熾遠に手を出さないで。」
「…いいわよ。」
「そっ。じゃあ…本気で行かせて貰う。」
風間さんが条件に承諾したと同時に本気でかかっていった。
やっぱり風間さんも護身術をやっていたのか、うまい具合に避けていた。
そんな時、横から気配がして避ければ、彼女のお姉さんまで向かってきていた。
「何を遊んでるの?こんな子早く倒して櫂翔さん達の前から消えて貰いなさいよ。」
「お姉様。様子を見てただけですよ。」
「呑気ね。あの報告書通りなら精神的に追い詰めてあげなさいよ。」
「そのつもりです。じゃあ…一緒にします?」
「楽しそうね?」
風間さん姉妹は軽く話していた。
その会話を聞いていた私は、嫌な予感がしながらも冷静に見つめていた。
「…何するか知らないけど…お父さんやエナがいる…この場で…余計な事言ったら許さない…。」
睨みながら言えば可笑しそうに笑いだした。
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