九章

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「クスクス。そんなにお友達に知られたくないの?」 「だいたい貴女の両親は亡くなってるわよね?誰をお父さんなんて呼んでるの?まさか櫂翔さんのお父様達の事を言ってるの?」 風間さんとお姉さんは、そう言いながらかかってきた。 それを避けながら会話を続ける。 「…あんた達には関係ない。姉妹揃ってよく喋るね。」 彼女達が話さない様に違う話に持って行きながら、ハチマキを狙っていると、エナが来た。 「イオ!大丈夫!?」 「っ!エナ…こっちは大丈夫…」 エナに大丈夫だから向こうを…と言おうとしたら風間さん達が話し出した。 「ちょうどお友達も来たようね。」 「うるさい!余計な事喋るな!!」 姉の方を相手にしている隙に、妹がエナに話しかけていた。 「ねぇ…知ってる?結城さんって従兄弟に抱かれてたのよ。」 「…は?」 エナは何言ってんのって感じだったが、私はエナに知られて頭の中が真っ白になった。 「本当よ。調べたんだもの。中3の頃には抱かれたんだって。家に居るために、身体を従兄弟にあげたんだって。こんな子と友達なんてやってたら、貴女まで汚れるわよ?あぁ、もしかして貴女も仲間なんじゃないの?」 エナに言う彼女を本気で殴り飛ばした。 「っ!ちょっと!!何するのよ!!」 風間姉はいきなり殴った私に叫びながら妹の方に行った。 「…許さない…。…私が言われるのは良いけど…エナは汚れてなんかない…。」 「…イオ……」 エナはさっきの話が信じられないみたいな顔で私を見ていた。 「…エナ…言えなくて…ごめんね…。」 そう言い、風間姉妹を殴りに走り出した。
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