九章

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何も考えられなくなり殴り続ける私に、風間姉妹は反撃しようとしていたが、無意味に終わった。 「李遠!止めろ!!」 どれぐらい…そうしていたか解らないが、祥くんの声が聞こえ腕を捕まれた。 「…離して…。」 「李遠、止めるんだ。もう二人とも戦意はない。」 そう言う祥くんの腕を振りほどいた。 「触るなぁ!!…こんな奴知らない…。」 祥くんから離れ、また暴れ出した。 「李遠!!クソッ!櫂翔!熾遠!!」 風間姉妹は震えながら私の行動を見ていた。 「…クスッ…私が怖い?…先に言ったよね?…エナに言ったら許さない…って…」 「ご…ごめんなさい…」 「…許さない…。昔を調べたからって何?現実に私がどんな思いしてたかも解らないくせに簡単に言うな!!」 そう言いながら振り上げた手を下ろそうとしたら…誰かに抱き締められた。 「くっ…離せぇ!!」 それでも暴れる私を抱き締め人の声が聞こえた。 「李遠、やめろ。」 抱き締めた人は櫂翔で櫂翔の声を聞いたら、冷静さを取り戻してきた。 「止めるんだ李遠。終わりだ。」 「………櫂翔……」 「どうした?何か言われたのか?」 優しく聞いてくる櫂翔に答えることなく、風間姉妹を見ながら呟いた。 「…許さない…。」 風間姉妹は震えながら泣いていたが、私の知った事ではない。 「おい…お前ら…」 余りに答えない私に櫂翔は彼女達を呼ぶ。 「李遠に何言った?」 聞いた櫂翔に風間姉が答える。 「あ…調べさせた事を…この子の過去をお友達に教えてあげただけです!!櫂翔さんも熾遠さんもこんな子といたら穢れます。こんな子と別れて、私達と付き合えば会社も安定しますのに!!」 大きな声で叫ばれ、今度はお父さん達の方まで聞こえたみたいだ。
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