九章

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私が目を覚ますと知らない部屋にいた。 一見、マンションの寝室にも見えたが、マンションにはあるぬいぐるみがなかったから、違う事が解った。 「……………」 寝起きでボ~っとする頭のまま考えているとドアが開き、入ってきたのは櫂翔だった。 「起きてたのか李遠。」 そう声をかけながら、ベッドに座り私の頭にキスを落とした。 「…櫂翔?」 「ん?」 「…ここ…どこ?」 「実家の俺の部屋。」 「あれ?体育祭は?」 「李遠が泣き疲れて寝たから早退した。」 「…………ふぅん。…でも…何でマンションじゃないの?」 「俺が会社に出掛けてたから、親父達に李遠を頼んだんだ。」 「会社?」 「あぁ。風間グループとの契約破棄するのにな。」 櫂翔の言葉を聞いて思い出した。 彼女達に言われた事がまた不安になってきて、櫂翔にギュッと抱きつく。 「どうした?」 「…何でも…ない…」 「李遠、何でもなくないだろ?言ってみろ。どうした?」 「…ん。…風間さん達に…言われた事…思い出しただけ…」 「あぁ…不安にならなくて大丈夫だ。奴等はもう現れない。」 「…え?」 「お前が不安になる事なんてない。大丈夫だ。」 櫂翔が言っている事はよく解らなかったが、櫂翔が大丈夫と言えば大丈夫の様に思え頷いた。 「さて李遠。下に行くぞ。皆が待ってるぞ。」 「うん。」 私が落ち着いた頃櫂翔が言い、二人で部屋を出た。
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