九章

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リビングに降りて行くと、祥くんまでいて驚いていると声を掛けられた。 「おっ。李遠、起きたか。」 「うん。…祥くんは何でいるの?」 「ん?李遠が心配だったから来た。」 「そっか。…ゴメンね?学校で暴れて…。体育祭…台無しにしちゃった…。」 「いや、大丈夫だ。あれぐらい毎年だしな。可憐がいた頃が一番大変だったから。」 楽しい体育祭をあんな風にしてしった事を謝ると、祥くんは頭を撫でながら言ってくれた。 「あら祥麻さん。あれは私は悪くないわよ?勝てもしないのに向かってくる女達が悪いんだもん。」 「お前はやり過ぎなんだよ。」 言い訳する可憐さんに弘人さんが言い、周りは笑いに包まれた。 「さぁ、李遠ちゃんも起きたからご飯にしましょ。」 私達を穏やかな目で見ていたお母さんが言い、食卓についた。 涼との事がバレても、皆変わらずに接してくれるのが嬉しくなりニコニコしながら、ご飯を食べた。 今日は皆実家に泊まるらしく、櫂翔達はお酒を飲み始めていた。 私は可憐さん達とテーブルでガールズトークに華を咲かせながら、ジュースを飲んでいた。 暫くたつと、ホワホワと良い気持ちになってきていた。 「あっ!可憐さん…李遠ちゃんに飲ませた?」 「うん。あら、李遠は飲めないの?」 銘ちゃんと可憐さんの会話を聞きながら私は櫂翔を探し、見つけて飛び付いた。 「か~い~と~!」 「李遠?」 急に抱きついた私に驚きながらも抱き締めてくれる。 「にゅ~。櫂翔~だぁい好き~。」 「李遠?酒飲んだのか?」 「みゅ?ちがうよぉ?可憐しゃんから貰ったジュース飲んだよぉ?」 そう言うと櫂翔は溜め息をつきながら可憐さんを見ていた。 「可憐…李遠に飲ませるなよ…」 「あははは。李遠酔うと更に可愛いわねぇ。」 可憐さんの笑い声を聞きながら、櫂翔にギュッと抱きつく。
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