九章

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櫂翔に抱き着きながら周りを見渡せば祥くんを見つけて、次は祥くんに抱きついた。 「祥くんだぁ!」 「おっと。李遠どうした?」 「祥くん、イオに会いに来てくれなかったぁ。」 「あぁ…ごめんなぁ。これからはいつでも会えるぞ。」 「本当?またイオとあしょんでくれりゅ?」 「あぁ。櫂翔なんかより遊んでやるぞ。」 「やぁ。櫂翔がいいもん。」 そう言い今度は熾遠に抱きつく。 「おにぃちゃぁん。」 「クスクス。また飲んだのか?」 「にゅ?ちがうよぉ。可憐しゃんから貰ったジュースを飲んりゃだけ。ねぇ、おにいちゃん?」 「どうした?」 「今日ね?イオ運動会頑張った?」 「あぁ、頑張ったな。」 「本当?」 「あぁ。楽しかったか?」 「うん!」 クスクス笑いながら私の頭を撫でてくれた。 「ほら李遠。抱き着くなら櫂翔に抱きついてろ?」 「うりゅ…おにいちゃんは…イオがギュッしたら…いや?」 「そんな訳ないだろ?嬉しいぞ。」 熾遠の答えにニコニコしながら更にギュッと抱き着いてから、櫂翔の元に行った。 「櫂翔~!おにいちゃんね?イオがギュッしてもイヤじゃないって。」 「良かったな。」 「うん!」 櫂翔と話していると、お父さんとお母さんの声が聞こえた。 「クスクス。李遠は本当に李維にそっくりだな。酔った時の行動まで似てるな。」 「そうね。熾遠は翼に似たのね。」 今度はそう話す二人に抱きついた。 「お父しゃん。お母しゃん。大好きぃ。」 「クスクス。俺達も李遠が大好きだぞ。」 「そうよ李遠ちゃん。もう私達の娘だもんね。」 「うん!あのね?あの時、櫂翔が助けてくりぇたから…今がありゅんだよ。櫂翔がね、大好きなの。」 お父さん達を見ながらニコニコ話すと、そうか…と言いながら頭を撫でてくれた。 皆に順番に抱き着き、最後にまた櫂翔に抱き着くと抱き上げられた。 「俺達部屋行くわ。そろそろ李遠寝そうだし。」 「あぁ。」 櫂翔はお父さんの返事を聞いてから歩き出した。
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