九章

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櫂翔の手をペチペチ叩いた。 「…もぅ…すぐ、そう言う…」 「事実だから良いだろ?」 「言われる私は恥ずかしいの!」 「いいじゃねぇか。誰かに聞かれてる訳でもないんだからよ。」 「ライチが聞いてるでしょ!?」 「クスクス。ライは家族だから、仲が良いとこ見せつけてんだよ。」 照れもせずに笑いながら言う櫂翔に何も言えなくなった。 しばらく抱き締められたままで居たが、お母さんに呼ばれライチを抱いてリビングに降りていく。 「おはよう、お母さん。」 「おはよう李遠ちゃん。二日酔いにはなってない?」 「うん。大丈夫だよ。」 「そう。なら朝ごはん食べれる?」 「うん。」 返事をすると、お母さんは私達の朝食の準備に取り掛かった。 「あれ?お父さんは?」 「聖は仕事に行ったわよ。」 「そっかぁ…。行ってらっしゃい…って言えなかったなぁ…。」 「朝早かったからね。仕方ないわよ。」 「うん。残念だなぁ。」 シュンっと落ち込みながら言うと、お母さんは笑いながら言う。 「クスクス。李遠ちゃんは本当に聖が好きね?」 「うん!お母さんも大好きだよ!!」 「クスクス。ありがとう。さぁ食べなさい。ライちゃんはこっちよ。」 「はぁい。いただきます。」 お母さんに呼ばれたライチは私の膝から飛び降り、餌に飛び付いていた。 私は久しぶりのちゃんとした朝食に手をつけながら、お母さんと他愛もない話をしながら楽しく食べた。
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