九章

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朝食をすませてから、リビングでお母さんとライチと遊んでいると、私の携帯が鳴り出した。 掛けてくる人は限られているから、ディスプレイも見らづに電話にでる。 「はい?もしもし?」 《李遠ちゃん?》 「…あれ?綾さん?」 《うん。突然ゴメンね?今大丈夫?》 「うん。どうしたの?」 《来週の土日、私の学校で学祭があるから遊びに来ない?》 「えっ!?行きたい!!」 《じゃあ待ってるね?》 「うん。じゃあ来週ね。」 綾さんからのお誘いに嬉しくなり、ニコニコしながら電話を切った。 ソファーに座りながらテレビを見ていた櫂翔は、上機嫌になった私を見て聞いてきた。 「どうした李遠?」 「あのね?綾さんが来週学祭があるから、遊びにおいでって。櫂翔…行きたいの。連れて行って?」 「あぁ。わかった。来週のいつだ?」 「んっと…土日って行ってた!」 私が答えると櫂翔は頷いてくれた。 「あら、じゃあライちゃんは家が預かってあげるわよ?」 「本当?お母さんいいの?」 「いいわよ。ライちゃんも大丈夫よね?」 「ニャ~。」 聞かれたライチは当然と言わんばかりに鳴いた。 「お母さん、ありがとう。」 初めての学祭に楽しみでワクワクした。 それと同時にうちの学校はないのか不思議に思う。 「ねぇ櫂翔?」 「なんだ?」 「うちの学校って学祭ないの?」 「あるぞ。12月にな。」 「へ?そんなに遅いの?」 「あぁ。変な時期に行事ごとがあるんだよ。2月には1、3年は日帰り旅行で2年は修学旅行だ。」 「へぇ~。」 初めて知った事に驚きながら櫂翔の話を聞いていた。
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