九章

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何回やっても葵に勝てなくて、1時間後には凄く不機嫌になっていた。 「もぅヤダ!葵のバカ!!」 手にしていたコントローラーを投げようとしていると、櫂翔に掴まれた。 「落ち着け李遠。」 「離してよ!!こんなゲームもうしない!!」 「俺が離したらお前コントローラー投げんだろ?葵に負けたぐらいで不機嫌になるなよ。」 「だって葵ズルいもん!わざと私が勝てない様に邪魔するんだもん!!」 「そういうゲームだろうが。ほら来い。」 櫂翔が優しく手からコントローラーを抜き取り、私を抱き上げソファーに座る。 チラッと葵達の方を見れば、皆困った様にしていたが、不機嫌な私は皆から顔を背け櫂翔の胸に顔を埋めた。 暫く櫂翔に抱き締められ、頭を撫でて貰っていると、熾遠が入ってきた。 「よぅ。来てたのか?…ん?どうした李遠?」 櫂翔に抱きついて離れない私を熾遠は不思議そうに聞いてきたが、話したらまたイライラするから熾遠に答えないでいると、櫂翔が熾遠に答えた。 「今、ゲームで葵に負けてイジけてんだよ。」 「なんだ。そんな事か。李遠?そんな事でイジけてんなよ。」 何も知らない熾遠に言われムカつき、叫んだ。 「熾遠は見てなかったじゃない!葵が邪魔するのが悪いんだもん!!」 「そういうゲームだろ。」 「だけどズルいもん!」 「李遠…昔から言ってるだろ?勝てないからってイジけんな。」 「だって悔しいんだもん!葵も手加減してくれても良いのに!!」 「それで手加減したら、お前イジけんじゃねぇか。」 「もぅいい!お兄ちゃんのバカァ!!」 解ってくれない熾遠に叫び、櫂翔に抱き着く。 そんな光景を皆は苦笑いで見ていた。
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