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何回やっても葵に勝てなくて、1時間後には凄く不機嫌になっていた。
「もぅヤダ!葵のバカ!!」
手にしていたコントローラーを投げようとしていると、櫂翔に掴まれた。
「落ち着け李遠。」
「離してよ!!こんなゲームもうしない!!」
「俺が離したらお前コントローラー投げんだろ?葵に負けたぐらいで不機嫌になるなよ。」
「だって葵ズルいもん!わざと私が勝てない様に邪魔するんだもん!!」
「そういうゲームだろうが。ほら来い。」
櫂翔が優しく手からコントローラーを抜き取り、私を抱き上げソファーに座る。
チラッと葵達の方を見れば、皆困った様にしていたが、不機嫌な私は皆から顔を背け櫂翔の胸に顔を埋めた。
暫く櫂翔に抱き締められ、頭を撫でて貰っていると、熾遠が入ってきた。
「よぅ。来てたのか?…ん?どうした李遠?」
櫂翔に抱きついて離れない私を熾遠は不思議そうに聞いてきたが、話したらまたイライラするから熾遠に答えないでいると、櫂翔が熾遠に答えた。
「今、ゲームで葵に負けてイジけてんだよ。」
「なんだ。そんな事か。李遠?そんな事でイジけてんなよ。」
何も知らない熾遠に言われムカつき、叫んだ。
「熾遠は見てなかったじゃない!葵が邪魔するのが悪いんだもん!!」
「そういうゲームだろ。」
「だけどズルいもん!」
「李遠…昔から言ってるだろ?勝てないからってイジけんな。」
「だって悔しいんだもん!葵も手加減してくれても良いのに!!」
「それで手加減したら、お前イジけんじゃねぇか。」
「もぅいい!お兄ちゃんのバカァ!!」
解ってくれない熾遠に叫び、櫂翔に抱き着く。
そんな光景を皆は苦笑いで見ていた。
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