九章

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「えっと…い~ちゃん?」 熾遠に叫んだ私に、葵が遠慮気味に話し掛けてきた。 チラッと葵の方を見てから、また櫂翔にギュッと抱き着いた。 「い~ちゃん…機嫌直してよ?あっ…ジュース持ってこようか?」 必死に私の機嫌を直そうとする葵に、熾遠が話し掛けた。 「あ~葵。李遠はほかってていいぞ。」 「でも熾遠さん…。」 「気にすんな。いつもの事だ。」 「…そうですか?」 「あぁ。暫くしたら治るからほっとけ。」 「はい。」 笑いながら言う熾遠に葵は渋々頷いていた。 櫂翔は黙ったまま、ずっと私の頭を撫でていた。 ずっと櫂翔に抱き着いていた私は、少しづつ落ち着いて来ていて、それを見計らった様に櫂翔に呼ばれた。 「李遠?」 櫂翔の胸から顔をあげて見る。 「少しは落ち着いたか?」 「…うん…。」 「また練習すれば葵にも勝てる様になる。綾達には勝っただろ?」 そう言う櫂翔に頷いた。 「じゃあもぅイジけんな。すぐイジけてたら葵達も遊んでくれなくなるぞ?それで良いのか?」 「………いや………。…葵に…謝ってくる…。」 遊んでくれなくなるのはイヤ…そう思い私が答えると櫂翔は微笑んだ。 葵達に悪い事したと思い、謝りに行こうと櫂翔から離れた。 「…葵…」 「あっ。い~ちゃん!」 「…ゴメンね?」 「もう大丈夫?」 「うん。次は勝つから!!」 「じゃあまた対戦やろうね?」 「うん!」 葵と仲直り?してから櫂翔の元に戻ると、櫂翔の膝に座らされた。 「もぅイジけんなよ?」 「うん、たぶん。」 ニコニコしながら櫂翔と話、そろそろ家に帰ろうとなり、ライチを連れて溜まり場を出た。
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