十章

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私が落ち着いた頃、櫂翔はさっきの人に話しかけていた。 「諒さん、お久しぶりです。」 「あぁ。李遠は櫂翔にもなついてんだな?」 「はい。俺の女ですから。」 「はぁ?李遠!櫂翔なんて止めとけ!!」 いきなり叫ばれビクッとしながら櫂翔に抱きついた。 「…………………」 「李遠?どうした?」 櫂翔に抱きつきながら、目線だけ諒さん?にやれば不思議そうに聞かれた。 『李遠、大丈夫だ。この人は4代目宝龍の総長だ。』 魁さんの言葉を聞いて、櫂翔に聞いた。 「4代目ってお父さんの後?」 「あぁ。だから李遠の親父さん達も知ってる…はずだ。」 櫂翔と話していると、諒さんが話しかけてきた。 「自己紹介がまだだったな。俺は諒。魁の先輩だ。俺は翼さんに拾って貰って宝龍にいたんだぞ。」 そう言う諒さんにペコリと頭だけ下げて櫂翔の背中に隠れた。 「李遠…小さい頃に会ったの忘れたか?」 「………知らない…………です……」 そう言うと諒さんはガクッと項垂れた。 それを見ていると魁さんに呼ばれた。 『櫂翔、李遠、行くぞ。沙綾が待ってる。』 「はい。諒さん、じゃあまた。」 櫂翔が話しかくても反応がないまま、皆で歩き出した。 今度はしっかりと櫂翔の手を握り歩いた。 途中、いろんなものに目を奪われたが、魁さんに後で回るからって言われ、後ろ髪を引かれながら櫂翔に引かれていた。
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