十章

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櫂翔と魁さんと廊下を歩いていると、やっぱり奇声と妬みの声が聞こえてくる。 知らない人に何を言われても平気だから、無視しながら櫂翔と魁さんに挟まれながら歩いていると、魁さんが立ち止まり教室のドアを開けた。 「「「きゃ~!!!」」」 魁さんが開けた瞬間、教室からは凄い声が聞こえたが、櫂翔と魁さんは気にせずに教室に入って行った。 櫂翔に手を引かれている私も当然一緒に入る事になり、ギュッと櫂翔の手を握りながら歩く。 『魁。…あ~!!李遠ちゃん!!』 「あっ綾さん。」 『迷子になってたんでしょ?もぅ…心配したんだよ?何もなかった?』 「ゴメンね?…知らない間に櫂翔とはぐれちゃったの。何もなかったよ。」 私が答えると魁さんが笑いながら言った。 『フッ。諒さんに抱きつかれて泣いたのは誰だ?』 「あぅ…だって…いきなり抱きつかれたから…。」 魁さんに答えると、魁さんは笑いながら私の頭を撫でてくれた。 『えぇ!?諒くんに泣かされたの?』 「あ…違うの。離してくれなくて、どうしようか悩んでる時に魁さんが来てくれたから安心して泣いちゃったの。」 『諒くんがゴメンね?李遠ちゃん、知らない人ダメだもんね?』 「うん。綾さんが悪い訳じゃないから大丈夫だよ。」 綾さんと話をしていると、みぃさんと月さんも来た。 『李遠、久しぶり。』 『李遠ちゃん。大丈夫だった?』 「みぃさん、月さん。大丈夫ですよ。遅くなっちゃってゴメンね?」 だいぶ待たせちゃったかと思い謝った。
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