十章

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学祭も終わりに近づき放送が入る。 〔あと1時間で終了します。生徒の皆さんは教室に戻ってください。〕 放送を聞いた私は、つい呟いてしまった。 「あ…もぅ終わりなんだ…。」 『李遠ちゃん、後夜祭があるからまだ居ていいよ。』 「え…?でも大丈夫なの?」 『うん。生徒一人につき一人は呼べるから。私のチケットを李遠ちゃんにあげる。櫂翔くんには魁のをあげるよ。』 そう聞き思わず櫂翔を見た。 「櫂翔!いい?」 「あぁ。」 「やった。ありがとう綾さん!!」 『うん。じゃあ朔達と待っててね?』 「うん!」 私の返事を聞くと綾さん達は校舎に戻っていった。 残された私達は人が少なそうな場所に移動して、綾さん達が戻ってくるのを待つ。 『李遠?』 「はい?」 急に颯矢さんに呼ばれ、何だろうと思いながら返事をする。 『今日の事、熾遠さんと葵に言ってないだろ?』 「あ…誘うの忘れてた…。」 『クスクス。そうだろうな。葵が李遠がこっちにいるの聞き付けて、来てるらしい。』 笑いながら言う颯矢さんに驚いた。 「葵、颯に電話したのか?」 『あぁ、櫂翔も李遠も電話に出ないって。で、綾の学祭にいるって言ったら来るってさ。』 そう聞いた櫂翔と私は顔を見合わせ苦笑いしていた。 「もしかして…熾遠も来るのかな?」 『葵と一緒に来るみたいだぞ。』 「はぅ…櫂翔、朔矢さん、颯矢さん…お願いが…」 熾遠が来ると聞いた私は慌てて三人にお願いする。 『『どうした?』』 「あの…私が櫂翔とはぐれた事、熾遠には秘密にしてください!バレたら…怒られる…。」 『クスクス。李遠、手遅れだ。』 「え?」 『熾遠さん知ってるぞ。』 「えぇ~!!」 熾遠が知ってる事に驚きながらも、櫂翔の背中に隠れてようと決めた…。
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