十章

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回された腕を離そうとすると、横から引っ張られ軽そうな男のひきつった声が聞こえた。 「…あ…」 「わりぃな。こいつは俺んだ。」 その声にハッとし、抱き着いた。 「櫂翔!」 「綾と食いもん買いに行ったはずなのに何してんだ?」 「あのね?無理矢理ここに連れて来られたの。」 櫂翔と話す私を見て、周りは固まっていた。 〔えっと…突然の乱入ですが…どうやら真鳥さんに隠れていた女の子の彼氏さんみたいだぁ!!おっと、その隣では御堂さんも乱入していたぁ。〕 司会の人が叫び、軽そうな男の人は櫂翔に謝っていた。 「櫂翔さん、すんませんでしたぁ!!」 「あぁ、次はないからな。」 「はい!彼女もゴメンね?」 「あ…はい…」 謝られたので、一応返事をしてから綾さんの方を見れば、魁さんと話していた。 「行くぞ李遠。」 「うん。」 「魁さん!!」 『あぁ、行くぞ沙綾。』 『はぁい。皆ゴメンね~!』 綾さんはニコニコしながら手を振り、魁さんと歩いてきた。 『大丈夫か李遠?』 「はい。」 『今回は泣かなかったか。』 「いつも泣いてませんよ魁さん!」 『クスクス。李遠はすぐ泣くからな。』 「うぅ~。」 魁さんにからかわれたが、言い返せないでいると、頭を撫でられる。 『魁!李遠ちゃんイジメちゃダメ!!』 『イジメてねぇだろ?可愛がってるだけだ。』 そう言いながら歩く魁さんと綾さんの後ろを歩いた。
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