1838人が本棚に入れています
本棚に追加
回された腕を離そうとすると、横から引っ張られ軽そうな男のひきつった声が聞こえた。
「…あ…」
「わりぃな。こいつは俺んだ。」
その声にハッとし、抱き着いた。
「櫂翔!」
「綾と食いもん買いに行ったはずなのに何してんだ?」
「あのね?無理矢理ここに連れて来られたの。」
櫂翔と話す私を見て、周りは固まっていた。
〔えっと…突然の乱入ですが…どうやら真鳥さんに隠れていた女の子の彼氏さんみたいだぁ!!おっと、その隣では御堂さんも乱入していたぁ。〕
司会の人が叫び、軽そうな男の人は櫂翔に謝っていた。
「櫂翔さん、すんませんでしたぁ!!」
「あぁ、次はないからな。」
「はい!彼女もゴメンね?」
「あ…はい…」
謝られたので、一応返事をしてから綾さんの方を見れば、魁さんと話していた。
「行くぞ李遠。」
「うん。」
「魁さん!!」
『あぁ、行くぞ沙綾。』
『はぁい。皆ゴメンね~!』
綾さんはニコニコしながら手を振り、魁さんと歩いてきた。
『大丈夫か李遠?』
「はい。」
『今回は泣かなかったか。』
「いつも泣いてませんよ魁さん!」
『クスクス。李遠はすぐ泣くからな。』
「うぅ~。」
魁さんにからかわれたが、言い返せないでいると、頭を撫でられる。
『魁!李遠ちゃんイジメちゃダメ!!』
『イジメてねぇだろ?可愛がってるだけだ。』
そう言いながら歩く魁さんと綾さんの後ろを歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!