十章

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ステージに行き賞品を貰ってから皆で学校を出た。 宝龍の溜まり場に移動すると、入口に熾遠と葵が待ち構えていた。 「い~ちゃん!誘ってよ!!」 「あ…ゴメン葵忘れてた。」 「ひどい…」 葵と話していると、魁さん達と話していた熾遠に呼ばれた。 「李遠。」 「…ぅ…な…何?」 少し怒り気味な熾遠の顔色を見ながら返事をする。 「何でお前は知らない場所で櫂翔から離れるんだ!誰かに誘拐されたらどうすんだ!!」 「し…熾遠…落ち着いて?何もなかったし、魁さんがすぐに来てくれたんだよ。」 「昔からお前は何かに夢中になると、人の話聞かないもんな!魁が見つけなかったら、どうなってたかわかんねぇだろ!!」 「にゃ…ごめんなさぁい!」 熾遠の剣幕に負け、謝りながら櫂翔の背中に隠れた。 そんな私達を皆は笑いながら見ていて、落ち着いた頃倉庫の中に入って行った。 部屋の中で綾さんと景品の話になり、貰った封筒を開けて見ると遊園地のフリーパスだった。 「うわぁ!遊園地のフリーパスだぁ!!」 遊園地なんてしばらく行ってなかった私ははしゃいでいた。 「綾さんは何だったの?」 『ん?ホテルのディナー券。』 「へぇ~。凄いねぇ。」 『去年もそうだったんだよね。今年はどこのだろ?』 そう言いながらチケットを眺めていたが、綾さんも解らなかったみたいだ。 『ねぇ魁。これどこのかな?』 『あ?…あぁ…櫂翔ん家のホテルだな。』 『へぇ~。』 魁さんの言葉に綾さんは感心した様に言った。 「櫂翔?」 「ん?どうした?」 「櫂翔のとこのって、moon light?」 「いや。あれは獅童グループの方だ。」 「そっかぁ。私も行ってみたいなぁ。」 ディナーなんて行った事がないから、一回行ってみたくなり呟いていた。 「クスクス。今度連れていってやる。」 「本当!?」 「あぁ。」 「ありがとう櫂翔!!」 それを聞いた私は嬉しくなり櫂翔に抱き着いた。
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