十章

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「あっ!ていくん!!」 私が叫ぶと諒さんが言った。 「思い出したか?」 「はい。」 「何で名前で思い出さないんだよ…。」 「だってパパが…」 櫂翔の背中から出て、諒さんを見ながら言う。 「翼さん…アダ名好きだもんな…。仕方ないよな。」 そう話していると、葵が不思議そうに聞いてきた。 「ねぇ、い~ちゃん?」 「何?」 「何で諒さんがていくんになるの?」 葵の質問に熾遠が答えた。 「それはな葵。まだ李遠が4~5歳の頃で弟子くんって覚えさせるはずが、でちって言ってたんだ。で、余りに可哀想だから、弟の意味を込めて、ていになった。」 「へぇ~。」 葵が納得した所で、諒さんと離れ魁さんの教室に向かった。 魁さんの教室はホストクラブをやっていて、一番人気はやっぱり魁さんだった。 魁さんは女の子達が話し掛けても、無視の状態でただ座ってるだけみたいだ。 変わりに横にいる蓮さんが相手をしていた。 「…魁さん…忙しそうだよ?」 「…だな。どうする?」 私と熾遠が話していると教室から知ってる声がした。 「あっ来たね李遠ちゃん。」 「あっ!綺羅さん。」 ドレス姿の綺羅さんが私達の方に歩いてきた。 「おいで。席はあるよ。」 「え?でもいっぱい待ってる人いるよ?」 「クスクス。大丈夫だよ。魁さんも蓮も李遠ちゃんと綾ちゃん達が来るまでって言ってたから。それにいい加減魁さんもウンザリしてるしね。」 そう言いながら綺羅さんは中に案内してくれた。
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