十章

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今日は後夜祭がないらしく、終わりの放送が流れると同時に解散になる。 『李遠ちゃん、また遊ぼうね?』 「うん。またね?」 綾さん達と校門で別れ、私達は家路についた。 帰りはどこにも寄らずに帰ったせいか、行きより早く櫂翔の実家に着いた。 葵は途中で別れ、熾遠は一緒に実家に来ていた。 インターホンを押すと、お母さんが玄関を開けてくれた。 「おかえり。」 「ただいま、お母さん。」 「楽しかった?」 「うん。」 お母さんと話していると、リビングからライチが走ってきた。 「ニャ~」 「ライチ!ただいま。いい子にしてた?」 「ニャ~」 「ライちゃんお利口さんにしてたわよ。」 「本当?ありがとうお母さん。」 「いいわよ。今日は夕飯食べて行きなさい。熾遠はどうするの?」 お母さんは一緒に来ていた熾遠に聞いた。 「あっ俺も。銘愛は遅くなるらしいから。」 「はいはい。じゃあ出来るまで待っててね?」 「あっ!お母さん手伝うよ。」 「ありがとう。助かるわ。」 ライチを櫂翔に渡し、お母さんとキッチンに向かった。 料理を作りながら、学祭であった事をお母さんに話すと、楽しそうに聞いてくれた。 「諒に会ったんだ?」 「うん。ママの名前呼ばれて振り替えったら居たの。でね?急に知らない人に抱きつかれたと思って困ってたら魁さんが来たの。」 「そう。見つけてくれたのが魁で良かったわね。」 「うん。後から熾遠に聞いたら、諒さんがていくんって解ったの。」 「まったく諒は…。昔、李維に抱きついて泣かれたのに李遠ちゃんにまでするなんて…。」 「ママも泣いたの?」 「そうよ。まだ李維が諒に慣れてない頃にね。で、翼さんに怒られてた。」 「クスクス。昔から変わらないんだ。」 「本当…成長してないわね…。」 お母さんと話していると、玄関が開く音が聞こえた。
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