十章

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リビングの扉が開き、入ってきたのはお父さんだった。 「ただいま。おっ、李遠達も帰って来てたか。」 「おかえりお父さん。」 「あぁ。楽しかったか?」 「うん。」 「良かったな。」 お父さんはそう言いながら頭を撫でてくれた。 「先に着替えておいでよ聖。ご飯出来たよ。」 「あぁ。李遠、後で話聞かせてな?」 「うん!」 お父さんは着替えにリビングを出ていき、私は出来た料理をテーブルに運んだ。 櫂翔と熾遠はすでに座っていて、後はお父さんが戻って来るのを待っていた。 お父さんが戻って来てから、皆でいただきますをして食べ始め、食べながら私はお父さんに学祭であった事を話していた。 「オヤジ、李遠迷子になったんだぜ。」 話していた私を遮り熾遠が言った。 「李遠、迷子になったのか?」 お父さんに聞かれ答える。 「違うよ?櫂翔が居なくなったんだよ?」 「李遠が居なくなったんだろ?ちゃんと人の話を聞かないからだ。」 「うぅ~。聞いてた…もん。」 熾遠と話していると櫂翔が言った。 「李遠…あの時猫に夢中で聞いてなかっただろ?魁さんと電話してる隙に居なくなったし。」 「だって…櫂翔は近くにいるって思ってたから…。」 ムゥって頬を膨らませながら話していると、お父さんが笑いだした。 「あははは。夢中になると、話を聞かないのも李維だな。」 「だよね?私もそう思った。」 お父さんとお母さんは懐かしそうにしながら言う。 「うぅ~。」 言い訳が思いつかず唸っていると、更に皆が笑いだした。
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