十章

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次の日曜日 綾さんの学祭で貰った遊園地に行く日になった。 銘ちゃんには学祭から帰った次の日にメールをして約束をしていた。 朝、早めに起きてお弁当を作ってから櫂翔を起こす。 「櫂翔…櫂翔おきて。」 「…………………」 「櫂翔ってばぁ。朝だよ、起きてよ。」 「ニャ~ニャ~」 昨日、集会があり遅くまで溜まり場に居た櫂翔はなかなか起きてくれない。 いつも以上に時間をかけて、ライチと櫂翔を起こすのに奮闘する。 「櫂翔…っ!」 何回か身体を揺すりながら呼び掛けていると、いきなり布団の中に引きずり込まれた。 「……もうちょい寝かせろ……」 目を閉じたまま私をギュッと抱きしめ櫂翔は呟く。 「ダメ。銘ちゃんと遊園地に行くんだから起きて?」 「……まだ早ぇよ。」 「むぅ…早くない!起きて!!だから昨日言ったじゃない。早く帰ろって…。」 「…………………。」 「櫂翔!寝ちゃダメ!!」 必死に起こす私に櫂翔はキスをしてきた。 「……ン……」 しばらくすると唇を離してから櫂翔が呟いた。 「…わかったよ。」 「…ハァ…ハァ…やっと…起きた…」 櫂翔は起き上がりタバコに火を付けているのを見ながら、私は櫂翔に乱された息を整える。 まだ眠たそうな顔でタバコを吸う櫂翔は、ついでに携帯で時間を確認しているみたいだ。 「……………李遠。」 「ん?」 「まだ早い……」 「早くないよ?銘ちゃんと9時に待ち合わせしてるから。」 「……お前らは……。…熾遠も起きてねぇだろ……。」 「…熾遠?銘ちゃんが叩き起こすって言ってたよ?」 私が答えると櫂翔は呆れた様に溜め息をついた。
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