十章

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男達が逃げていくのを眺めていると、横で櫂翔が溜め息をついていた。 「ありがとう櫂翔。」 「あぁ…。李遠達だけで行かせたのが間違いだったな。」 「まさか絡まれるとは思わないし…。」 櫂翔と話していると熾遠が言う。 「諦めろ櫂翔。李遠に何言っても無駄だ。」 「だな。」 「もぅ櫂翔も熾遠も何!?絡まれたのは私達のせいじゃないよ!」 むぅと怒りながら言うと二人はまた溜め息をつき、銘ちゃんは苦笑いしていた。 「まぁまぁ、仕方ないわよ。李遠ちゃん可愛いもん。」 「そう言う銘愛もだ。」 「あれは李遠ちゃん目当てでしょ?」 「えぇ?銘ちゃんだよ!」 どっちが絡まれたか話していると、櫂翔と熾遠が言った。 「どっちもだ。」 「もういい。それ食べたら行くぞ。」 「「はぁい。」」 銘ちゃんと返事をして、少し溶けたアイスを食べ始め、銘ちゃんは思い出した様に言う。 「あっ!アトラクションの前にパレード見に行こう。」 「もうすぐだね。」 「うん。李遠ちゃん、早く食べちゃお。」 銘ちゃんと急いでアイスを食べ終わり、パレードが見られる場所に歩き出した。 「うわぁ。いっぱいだね?」 パレードが見られる場所に来ると、すでに人だかりが出来ていて見るのも大変そうだった。 「あそこからなら見れるぞ。」 熾遠がちょうど人の隙間を見つけてくれて、銘ちゃんとそこに入り込む。 「良かったね李遠ちゃん。」 「うん。もうすぐ始まるね。」 入り込んだ先で銘ちゃんと笑いながら話していた。
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