十章

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暫くするとパレードが始まり、それを眺めた。 パレードが終わると、またアトラクション巡りに歩き出す。 気がつくと夕方になっていた。 「あとは観覧車だけね。」 「うん。」 銘ちゃんと話していると、熾遠が言う。 「まだ乗ってないのあるぞ。」 「「へ?」」 「行くぞ。」 乗ってないのがあったかなって考えていると、櫂翔に手を引かれた。 銘ちゃんも解らないって顔をしながら熾遠に手を引かれていた。 「ねぇ櫂翔?」 「ん?」 「乗ってないのって何?」 「わかんねぇか?」 「ん~?解んない…」 「フッ、もうすぐつく。」 結局櫂翔は教えてくれずにそのまま歩いた。 「ついたぞ。」 熾遠の声に見上げればそこは………… …………お化け屋敷…………だった。 「制覇すんだろ?」 「ならここも入らなきゃな?」 そんな事を言い出した熾遠と櫂翔をよそに、銘ちゃんと二人で固まった。 お化け屋敷を見上げながら銘ちゃんに話し掛けた。 「銘ちゃん…入れる?」 「…無理…。李遠ちゃんは?」 「無理…。」 銘ちゃんと話していると急に手を引っ張られた。 「行くぞ李遠。」 「やぁ!無理!櫂翔やだ!!」 「行かねぇの?これ入んなきゃ制覇になんねぇだろ?」 「無理無理無理!!やだぁ。」 櫂翔を見上げながら必死に訴えた。 そんな私を見て櫂翔は一瞬ニヤッとしながら、耳元で囁いた。 「じゃあ李遠からキスして?」 「えっ!?ここで?」 「あぁ。」 ビックリして顔が一気に赤くなった。 固まった私に櫂翔は手を引きながら言った。 「しねぇの?んじゃ入るか。」 「やぁ!わかったからぁ。」 沢山の人の前でとか恥ずかしかったけど、お化け屋敷に入らないでいいならっと覚悟を決めた。
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