十章

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近くのベンチに移動して、隣に座る櫂翔に言った。 「櫂翔…目…瞑ってね?」 「あぁ。」 櫂翔が目を瞑ったのを確認して、チュッと触れるだけのキスを落とした。 恥ずかしくて、すぐに櫂翔の胸に顔を隠したけど、櫂翔に顎を捕まれ上を向かされたかと思ったら、いきなり深いキスが降りてきた。 「……ん……やぁ……」 暫くすると櫂翔は唇を離してくれた。 「クスクス。可愛いな李遠は。」 「…むぅ…櫂翔…わざとでしょ?」 「何が?」 「私にキスさせたの…。初めっからお化け屋敷なんて入る気なかったんじゃない?」 「クスクス。やっと気づいたか?俺が李遠が泣きそうな事をするかよ。」 「櫂翔のバカ!恥ずかしかったんだからね!!」 「クスクス。悪かった。 李遠は俺のだって見せつけてやりたかったんだよ。」 ギュッと抱き締められ、頭を撫でられた。 フッと銘ちゃんの方を見れば、同じ様な状況になっていた。 「さて行くか。熾遠!!」 「あぁ。」 櫂翔は熾遠を呼ぶと、私の肩に手を回し歩き出した。 最後に観覧車に乗ると、すでに周りは暗くなっていたので、綺麗な夜景が見えた。 「うわぁ。綺麗だね?櫂翔!」 隣に座る櫂翔にニコニコしながら言った。 「あぁ。楽しかったか?」 「うん!!連れてきてくれてありがてう。」 「あぁ。」 話しながら夜景を見ていると、頂上付近に来た。 「ここからお家見えるかな?」 「さすがに夜はわかんねぇよ。」 「そっか…残念。」 「李遠。」 「ん?」 呼ばれたから振り返ると同時にキスされた。 「何?いきなり?」 「キスしたくなっただけ。」 「もぅ…」 照れながらも櫂翔に抱きついた。 観覧車から降りると閉園時間が迫っていた。
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