十章

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ビックリしながら振り返ると、櫂翔がタバコを吸いながら聞いてきた。 「どこ行くんだ?」 「ん?お風呂。昨日そのまま寝ちゃったから…。あっ、ベッドまで運んでくれてありがとう」 「…あぁ。」 そう言いながらも手を離さない櫂翔。 「櫂翔…準備しなきゃ学校遅刻しちゃう。」 「……………。」 「ね?お風呂入るから手を離して?」 櫂翔の顔を覗き込みながら言えば、櫂翔はタバコを消し私の手を掴んだまま立ち上がる。 そんな櫂翔の行動に意味が解らず聞いた。 「櫂翔?」 「風呂…行くぞ。」 「……一緒に?」 「あぁ。」 キョトンっと呆気に取られている間に、櫂翔は私を立ち上がらせお風呂場に向かいだした。 「1人で入るよ?」 「ダメ。」 寝起きの櫂翔はいつもと違い、可愛さがあり逆らえずに一緒にお風呂に入る。 湯船に浸かりながら後ろから櫂翔に抱き締められ、いつもの体制。 「昨日は楽しかったか?」 「うん。連れて行ってくれてありがとう。」 「あぁ。…なぁ…李遠?」 「なぁに?」 「俺、今日から仕事が忙しくなりそう。」 「……え?」 「昨日、電話してただろ?」 「うん。」 「龍さんからでな?仕事が今忙しいから来いって。」 はぁっと溜め息を着きながら言う櫂翔。 「そっか。じゃあ学校終わったら家で待ってるね?」 「わりぃな。溜まり場に行くなら行ってていいぞ?」 「大丈夫だよ。ライチとお家で待ってる。」 「わかった。……そろそろ出るか。」 櫂翔はそう言うと、私を抱き上げ浴槽から出た。 学校の準備をして、ライチのご飯などを準備してから家を出た。
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