十一章

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櫂翔はあれから学校が終わると、私を家に連れて行ってくれてから会社に行っている。 帰るのが夜中になる時は、連絡をくれるが、だいたいは10時頃には帰って来た。 私は学校から帰ると、ライチと二人で疲れて帰って来る櫂翔を、ご飯の準備をして待っている。 そんな生活が2週間ぐらい過ぎた頃、学校では学祭の話し合いが始まった。 「学祭でやりたい事はありますか?」 学級委員長が言った言葉に、クラス中から意見が出る。 「メイド喫茶。」 「カフェは?」 「いや、仮装喫茶だろ。」 「簡単なお化け屋敷は?」 色々な意見が出る中、ボ~と聞いていると葵が話し掛けてきた。 「い~ちゃんは何がいい?」 「何でもいいよ。…面倒くさくなければ…。」 「い~ちゃん…。…学祭ぐらい楽しもうよ?」 「だって…面倒くさい…。」 「まぁ…それが、い~ちゃんだよね。…でも話しはちゃんと聞いとかないと大変な事になるかもよ?」 「何とかなるでしょ。葵に任せるよ。」 葵に返事をしてから、机に伏せて眠りに入る。 葵がまだ何か言っていたが、とりあえず寝る事にした。 お昼になり、屋上に向かう途中エナに聞かれた。 「イオのクラスは学祭何するの?」 「さぁ?葵、結局何になった?」 「イオ…また話し聞いてないの?」 途中で寝たから葵に聞いていると、エナが呆れた様に言う。 「エナちゃん。い~ちゃんは面倒くさいって言って、途中から寝ちゃったんだ。」 「まったくイオは…。」 「だって何でも良いもん。で?結局なに?」 「メイド、執事喫茶だよ。」 「へぇ~。」 「ちなみに、い~ちゃんはメイドね。」 「えっ?裏方じゃないの?」 「違うよ?」 「…うわ…。」 「だから言ったのに…。ちゃんと聞いとかないとって。ちなみに今日の放課後から、衣装作りだよ。」 話している内に屋上に着き、葵の言葉にゲッソリしながら屋上のドアを開けた。
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