十一章

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最近のお弁当は、疲れている櫂翔の為に栄養のバランスを考えたメニューにしてある。 「イオのお弁当凄いね?バランス良さそう…。」 「うん。櫂翔がお仕事で疲れてるからね。夜、家でご飯食べない日もあるから…。朝も食べないし…。」 「そっか。」 エナに答えてから櫂翔を見ると、眠たそうにタバコを吸っていた。 「櫂翔。食べよ?」 「あぁ。」 他愛もない話をしながらお弁当を食べ、完食すると櫂翔は私の膝で眠り始めた。 お昼休みが終わる頃、皆が立ち上がったけど、私はどうしようか悩んだ。 膝でグッスリ眠る櫂翔を起こすのが可哀想だから。 「あれ?イオ行かないの?」 「うん。櫂翔を起こしたくないから。」 「じゃあい~ちゃん、後で迎えに来るね?」 「うん。わかった。」 エナと葵に返事をして、皆が屋上から出て行くのを眺めた。 櫂翔と二人っきりの屋上。 のんびりとした時間が流れている。 …久しぶりかも… 櫂翔とのんびりと過ごすのが、何だか久しぶりに思い、櫂翔の髪を撫でた。 染めてるのに傷んでない髪。 いつも私が撫でて貰うから、たまには逆も良いかなっとか考えていると、櫂翔が目を開けた。 「………李遠………」 「起きた?」 「……あぁ…。今、何時だ?あいつらは?」 「皆、授業に行ったよ。5限が始まって少ししたぐらいかな?」 「…起こせば良かったのに。」 「だって櫂翔疲れてるでしょ?たまにはサボっても大丈夫だよ。」 「1人で暇だったろ?」 「そうでもないよ?久しぶりに櫂翔とゆっくり過ごせたし。」 ニコニコして髪を撫でながら櫂翔に言えば、櫂翔は起き上がるついでみたいに私にキスをした。
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