十一章

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急にキスされたから驚いたが、起き上がった櫂翔はそのまま私を抱き締めた。 「寂しい思いさせてゴメンな?もう少ししたら落ち着く。落ち着いたら李遠が好きな所に連れて行ってやるな?」 「大丈夫だよ。心配しないで?私は櫂翔と居れるだけで大丈夫だから。」 「そうか。」 櫂翔はそう言い、私の頬に手を置いた。 一瞬ドキッとしたが櫂翔の手の温もりが暖かく、その手にすりよっていると、櫂翔の顔が近付いてきた。 唇が触れる瞬間に目を閉じ、櫂翔を受け入れる。 「………ン………。」 軽いキスから段々と深いキスに変わり、気がつくと私は寝かされ、櫂翔は私の上に跨がっていた。 酸欠で唇が離れた後に呼吸を整える。 「……ハァ……ハァ……。」 「クスクス。大丈夫か?」 「…うん。…でも…櫂翔…何で私の上にいるの?」 「ん?何となく。嫌か?」 「…イヤじゃ…ない…」 櫂翔に答え、ギュッと抱き着いた。 櫂翔は抱き着いた私を支えながら起き上がらせてくれる。 櫂翔は暫く抱き締めててくれ、私の呼吸が落ち着くのを待ってから、またキスをした。 だんだん激しくなるキスに、頭が真っ白になっていき、櫂翔が満足する頃には私はぐったりしていた。 そんな私を櫂翔は頭を撫でながら笑って見ている。 ふっと放課後の事を伝えてなかったと思い櫂翔に言う。 「ねぇ櫂翔?」 「どうした?」 「あのね?今日から放課後残らなきゃいけないみたいなの。」 「あぁ、学祭の準備か?」 「うん。メイド服とか自分達で作るんだって。だから櫂翔は学校が終わったら、私の事は良いから会社に行ってね?」 「じゃあ葵に送って貰え。」 「え?家まで近いから1人でも大丈夫だよ?」 「ダメだ。葵には言っとくから、家でも良いし溜まり場でも良いから一緒に帰れ。」 「わかった。」 「李遠、最後の授業でるのか?」 「ん~?櫂翔は?」 「行かねぇ。」 「じゃあ櫂翔と居る。」 私がそう言うと、櫂翔はギュッと抱き締めてくれた。 櫂翔に抱き締めてもらいながら、他愛もない話をしていると、放課後になった。
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