十一章

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HRが始まる前に櫂翔が教室に送ってくれた。 HRが終わると学級委員長が教卓の前に出る。 「じゃあ、準備に取りかかります。男女別れて、衣装のデザイン考えて。」 委員長の声に皆が動き出した。 一応、女子が集まってる方に行く。 皆、紙にデザインを書いて、そっちが可愛いとか言っていた。 「結城さん。出来た?」 1人少し離れていたら、委員長が寄って来た。 「出来た。」 「見てみたいんだけど、見せてくれる?」 「はい。」 断る理由もないから、デザインを書いた紙を見せた。 私のデザインを見た委員長は反応がなかったから、変なのかなって思い聞いてみた。 「おかしい?」 「ううん!スッゴい可愛い!!結城さんに似合いそう!!!」 興奮気味に叫ばれ、気付けばクラス中の皆が集まって来ていた。 私が考えたのは、制服にフリルをつける簡単な物。 そんなのに何を興奮するのか解らないけど、皆が口々に可愛いを言い続けた。 「い~ちゃんならもっと凝ってても可愛いのに。」 「葵…いつの間に…。」 「委員長が叫んだ時に横に居たよ?」 「そぅ…。だって面倒くさいのはイヤ。何でこんな簡単なので、皆興奮してるか解んない。」 「…い~ちゃん…。」 何か言いたげな顔の葵を遮り、委員長が言う。 「ねぇ結城さん。もう少しアレンジして、もっと可愛くして良い?」 「作るの面倒くさいからヤダ。」 「えぇ~!じゃあアレンジ部分は私が作るから!ね?お願い!?」 「………わかった。」 話が長くなりそうで自分が作らなくて良いならと承諾した。 「じゃあこのデザイン借りるね?あっ、デザイン決めた人は帰って良いよ。作るのは明日からね。」 委員長はそう言うと、私から離れて行った。
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